強く・・・強く・・・

「レイも
 アッちゃんが好き」

「レイ、おいで行こう」

「ちょっと待って」

私は、こっそり
家の玄関、ドアを開けた。

「レイ、何してる・・・」

「シッ、しゃべっちゃ駄目」

家のドアを、音を立てずに
ゆっくりと閉める。

「さぁ、行こう」

貴方の差し出す手に

私の手が触れる・・・

私の足には、スニーカー

繋いだ手が解けないように

しっかりと指と指を絡めて

私達は、駆ける・・・

夜の街を。

玄関に揃えて置かれた靴は
エナメル素材の
ラウンドトゥパンプス、赤色。

「ママ
 レイ、帰ってるの?」