紫御殿†Purple heart

静かなタクシーの中
いずるは、独り言のように
語りだす。

「この道・・・遠い昔
 姉と二人で
 こうしてドライブしたよ

 あの人は、女なのに
 車やバイクが大好きで
 よく、俺を乗せてくれた」

『いずる、スカッとするね
 嫌なこと、全部
 忘れられる・・・』

「それが、姉の口癖だった
 片親の母を亡くした時
 俺はまだ、小学生で
 何も分かってなかった
 生きることがどんなに
 過酷なのかさえ知らずに
 姉に、ただ甘えていた」

『いずる
 何も心配すること無いよ
 貴方には
 お姉ちゃんが付いてる
 大丈夫だよ』

『いずる
 貴方が居れば、それでいい
 貴方が居れば・・・』

泣いている俺の手を
握り締める、制服姿の姉・・・