紫御殿†Purple heart

貴方の手が、私の手に
触れた。

グイグイ、私を引っ張る手。

「いずる、いいよ
 一人で電車で帰れるから」

繋いだ手を解こうとした
私の手を、いずるは強く
握り締める。

「こんな時間に、お前を
 一人で放っておけるかよ
 
 心配だろう・・・
 
 ほらっ、行くぞ」

いずるに手を引かれるうちに
私は、その手を握り返していた

別れ話をして以来、一度も
いずるには逢っていない。

何を話せばいいのか・・・

何も話せないまま、二人は
駅近くのタクシー乗り場で
タクシーを待つ。

繋がれたままの手・・・

懐かしい、手の温もり。