「何でもありません」

そう言った後、彼女は
浅緋に一度だけ微笑を
見せて、脇を通り過ぎた。

冷たい微笑み・・・

教室の中、私は
しゃがみ込み、机に
姿を隠した。

浅緋は誰もいない教室の
ドアに手をかける。

ドアを閉めようとした
その時、教室内に
風が吹き荒れ

澪の長い髪が靡いた。

澪の傍に、ゆっくりと
近づく浅緋・・・

両手で顔を覆う
澪の肩が震えている。

「レイ、どうした
 
 泣いてるのか?」

私は、泣かない。

私は、信じない。

彼女の言葉なんかを

絶対に・・・