紫御殿†Purple heart

「私、本当は不安だったの
 
 この世にいない人が
 恋のライバルだなんて・・・
 そんなの
 私に勝ち目なんて無い」

「レイ・・・」

貴方の手が私へと伸びる

私は、その手から逃げる為に
背中をドアに、ピッタリと
付けた。

貴方の手が、ハンドルへと
戻る。

「ごめんなさい・・・」

ドアを開けて飛び出した私は
来た道を歩いて戻る。

『・・・不安だったの』

いずるは、車内に一人きり
俯き、ハンドルに額を
押し付ける。

彼女が死んでも、尚
捨てることのできない
実姉への溢れる愛情に
いずる自身が一番
困惑していた。