私の足音に気づいた

母の声。

「レイ、起きたの?」

私は、靴を履く途中で
家を出た。

母に『どこへ行くの?』

そう、問わてしまったら

私は、きっと
どこへも行けなくなる。

だから、私は
呼び止められないように
靴の踵を踏んだまま急いで
その場を離れた。

あの、ドアホーンの音は

浅緋だった。

浅緋が私の事を心配して
様子を見に来てくれて
いたのに・・・

・・・私

気づけなかった。