背伸びをする私の唇が

浅緋の下唇に触れる。

触れ合う唇・・・

わたし、今

とっても幸せだよ

だけど数秒後も
この想いは続くだろうか?

幸せだろうか?

それは、きっと違う。

また、罪悪感に支配され
必ず私は、自己嫌悪に陥る。

「ごめん・・・アッちゃん」

私は、浅緋から離れ
指導室のドアを開けたまま
廊下を走り去る。

甘い口づけの、余韻に浸る事
も無く、浅緋を一人
教室に残して私は駆ける。

教室へ戻ろうとした私に

届く声。

「レイ、廊下を走ると危ないぞ
 そんなに急がなくても
 本鈴は、まだ鳴ってない」