忙しない朝の時間を追えて
一呼吸をついているように
穏やかに時間が流れている
静かな空間。

私は、玄関のドアに手をかけた

開くドア・・・あれっ。

玄関には、母のお気に入りの靴
が揃えて置いてある。

確か、母は今日は仕事だと
話していたはずなのに
こんな時間に居るなんて・・・

私は、家の中へと続くリビング
のドアを開ける。
 
そして、閉まるドアの音と共に
洗面所の方から、母の声が
聞こえる。

「ミノル君、もう着いちゃった
 速かったね
 もうすぐ用意ができるから
 ・・・・・・
 レイ、学校はどうしたの?
 あらまぁ、そんなに濡れて」

平日のこんな時間に、家には
いないはずの娘の姿に驚いた母
は急いでタオルを持ち駆け寄る

「傘、持ってなかったのね
 はい、これで
 きれいに拭いて」