何を聞いても返答の無い
私にやっと届いた

いずるの声。

「レイ、聞いてる?」

「ごめん、なさい」

「どうかしたのか?
 
 家に帰りたくなったなら 
 今からでも送ってやるよ」

いずるは、好きな子を
からかうように言った後

少年のように微笑んだ。

「家を恋しがるような年じゃ
 ないよ、私・・・」

少し怒ってみせたすぐ後に
今度は私が、いずるに
微笑みかけた。

「その方が、レイ
 お前らしいよ
 電話、何かあったのか?」

「ううん、何でもない」

「そうか・・・
 そうだ、さっきの話の続き
 だけど、お腹空かないか?
 何か外に、食べに行こう」

「ほんとう?」