貴方が居ればいいよ・・・

『いずる
 何も心配すること無いよ
 貴方には
 お姉ちゃんが付いてる
 大丈夫だよ』

小さな弟の手を握り締め
制服を着た少女の綺麗な
漆黒の長い髪が揺れる。

『いずる
 貴方が居れば、それでいい
 貴方が居れば・・・』

彼女は、同じ言葉を繰り返し
弟である、いずるに聞かせた。

「姉さん・・・」

私は、貴方の事

何も知らずに恋をした。

それは、あの紫御殿の花に

惹かれた時のように

先に、あなたの存在に惹かれ

そして
あなたの事を知りたくなった。