私が、家のドアを開けた音を
聞きつけて、仕事から帰宅して
いた母が玄関まで出て来た。

「レイ、帰ったの?
 アッちゃん、いらっしゃい
 もう、リコったら
 何を怒っているのかは
 知らないけれど
 旦那様のお出迎えぐらい
 しなさい
 
 リコ?」

「お母さん、いいんです
 喧嘩の原因は俺なんで
 リコが怒るのも仕方ない」

「そうなの?
 リコなら、リビングに
 居るわよ
 話せば分かるわよ
 さあ
 上がってちょうだい」

「お邪魔します」

浅緋は慌てて、リビングへと
入って行った。

浅緋の脱いだ靴を母は
きちんと揃えながら
私に言う。