近所に住む、同じ学年の男子に
からかわれて

泣いていたあの時も。

父が亡くなって、お葬式の席で
声を出して泣いていたあの時も

いつも、私の手を握り締めて
ずっと、私が泣き止むまで
傍にいてくれた。

『傷つくのを見たくない』

それは、貴方の本当の気持ちだ
と私には分かる。

分かるよ・・・だけど・・・

ねえ、浅緋・・・

あの時

どうして私を抱いたりしたの?
 
ずっと、私を守ってくれていた
はずの貴方が

一番、深い傷を

私の心と体に刻み付けた。

「レイは、俺が守る・・・」
 
車内に響く

その言葉に、時が止まる。