いずるの声に、やっと
我に返った浅緋の手が
学生から離れた。

彼は、何も言わずに友達と
駅の中へと逃げて行った。

「大丈夫か、レイ?」

いずるの優しい声に、ほっと
安心したのも束の間

今の話を貴方に聞かれていた
かもしれない。

彼との関係を・・・

「さあ、車へ・・・」

いずるに肩を抱かれて
車の後部座席に乗り込む私。

沈黙のまま浅緋の運転する車は
走り出す。

車内で私は、自分が過去に
起こした投げやりな行動のせい
で自己嫌悪に陥っていた。