そんな具合で、忘れ物を
気にする事なんてなかった。

でも、貴方の大切な傘を
なくす訳にはいかない。

その想いだけで、私は
こんな時間に学校へ向かう。

雨が降っていなければ
誰も傘になど興味は無いし

ましてや女子高に黒い傘
誰も、その忘れ物を必要とは
しないだろう。

その事に気づくのは、学校の
校門前に佇み

場違いな姿の自分に気づいた
ずっと、ずっと、後だった。

『どうしよう』

この格好で学校内を許可も無く
うろうろしても

いいの・・・だろうか?

部活、又は委員会などを終えて

これから帰ろうとしている

生徒達の目線が痛い。