treasure(宝物)






私は夏葉じゃないけど腹が立った。



裕子姉ちゃんの部屋からリビングまでダッシュ。



「夏葉姉ちゃん…!」



ホールで夏葉の名前を呼んだ。



やっぱり心配なんだ。


「夏葉姉ちゃん…。夏葉になにがあったの?あの手紙は母親からだったんでしょ?」



夏葉が驚いた顔をした。



「裕子姉ちゃんから聞いたよ。中にはなんて書いてあったの?」



みんな鬼ごっこをやめて視線を私たちに向けた。



「関係ない事だよ」




何もなかったかのように、また鬼ごっこを始めようとする夏葉。


「関係なくないよ…!!」




「お母さんに謝られただけ!ごめん、いつか必ず迎えにいくからって。どうせ嘘だよ。お母さんなんてもう私には関係ない…」