「ふぅ……」

漸く一段落ついたのは
深夜近くなってだった。

細かいものは
あらかた早く片付いたのに、中々納得できるレイアウトが決まらず

ベッドをあっちやこっち
コーナーをあっちやこっちにを繰り返していたのだ。

結局ベッドは壁際に付けた

窓際と悩んだが
冬は寒いかもしれないと
考えて。

そしてベッドと反対側の壁際にコーナーを置き
テレビを配置した。

これで寝ながらテレビを見れる。

寮暮らしの時は、部屋にテレビがなかったから
中々、贅沢な気もする。

早速梓は、テレビを付け
ベッドに腰を下ろした。

テレビでは深夜のバラエティーが放送されていた。

「あっ、お母さん…」

引っ越しが一段落ついたら電話する約束していたのに
忘れていた。

時計を見れば23時過ぎ
梓は携帯を手に取ったが
明日連絡しようと
枕もとに置いた。

その時

ドン



ドンドン




ドンドンドン




ベッドの横の壁に
殴るような音が響いた。


それに続いて、甲高い女性の声が聞こえる。

何を言ってるかまでは
わからないが
怒鳴っている

そんな感じだった。


喧嘩かな…?


下見に来た時、隣人が出かける時に出くわし カップルで住んでいると知っていた梓は
さほど気にせず

そのまま引っ越しの疲れもあってか
その日は眠りについた。