6月の終わり
ジメジメと
肌に空気が纏わり付く感じがする
ある日

都内の
とあるアパート

引っ越し作業をしているのは
田中 梓、大学2年。

今まで住んでいた学生寮の老朽化が進み
取り壊し決定になった為
急遽、引っ越しを決め
た。

新居のこのアパートは2階建て。

新しくもなければ
古くもない
何処にでもある
集合住宅だ。

梓は201号室
角部屋に入居した

下見に来た時
都会の中にあるわりには
日当たりがよく
家賃も安かった為
即決で決めたらしい

「これで最後ですね」

頼んだ引っ越し業者の男が、段ボールを持って部屋に入ってくる

「あ、それキッチン用品…ここに置いてください」

間取りは1Kでキッチンも割と広い

空いてるスペースに
その段ボールを置いてもらった。

梓はお礼に缶ジュースを付け、料金を支払う。

一人暮らしなので
業者も一人で十分な荷物量
金額もそんなにはかからなかった

「ありがとうございました」

業者の男は一礼して
帰って行く。

梓はシーンと静まり返った新居をゆっくり見渡した。

今日からここが我が家か

やっぱりカーテンの色ピンクにすれば良かったかな

ソファーとか、買っちゃおうかな

ベランダで植物とか育てたり


親元を離れ、大学進学のおり
すぐに学生寮に入った為 本格的な一人暮らしは
生まれて初めてだ。

色々やりたいことや夢は膨らむ。

「あっ、いけない、明日若菜が遊びにくるんだ…」

それまでにある程度片付けなくちゃ

と、慌てながらも
新生活に胸弾ませ段ボールをあけていった。