「そしてそのあと、その梓さんは…姿を消した」


裕子は目を伏せ言葉を締めくくった。


真由美はふるふると震え隣に座る美佳の腕にしがみついて

佳代は一見平然を装っていたが
不自然に唾を飲み込んでいた。


「………結局…
梓さんは…どうなったの?」


瞑目したままの裕子に
美佳が問えば


わざとらしく裕子は
悲しい顔をして


「それはね
若菜が迎えに来たんだよ
…そして今、美佳の後ろに若菜が!!」


そう裕子が言った瞬間理科室の扉が開いた


「きゃぁぁぁっ!」


真由美が豪快に叫ぶ


他の3人も身体を跳ねさせた。


しかしいち早く平静を装った裕子が
ドアを開けた主を呼ぶ

「早苗」

「なんだ、早苗かぁ。
驚かせないでよ」

真由美が涙目で一息ついた。

そこにはクラスメイトの
川村早苗が立っていた。

「ごめん、なんか声聞こえて…何やってるの?」

早苗が聞けば裕子と佳代が顔を見合わせ笑う

「怪談話し」

裕子が答えると
早苗はドアを閉め机に近づいてきた。

「私も、仲間にいれて」

裕子が頷けば
早苗は佳代の横に座って

それを見届けてから美佳が手を挙げた。

「はいはい、次私がいく。」

美佳はそう言い立ち上がった。


そして口を開く。


「ある街で起きた事件なんだけど…」