『明日午前0時、眠るお宝頂きに参ります。

──怪盗バレンより』





「わざわざ敵の陣地に乗り込むなんて、バカみたい」

千夜は小さな声でボソッと呟いた。

「しっかりと聞こえているぞ……誰がバカじゃ!」

「……エヘヘ。さすが地獄耳のお兄ちゃんだね!」

地獄耳は余計だっての。
確かに、俺と彼女の間は十メートルはあった。

「今回はな、(罠に)かかってやらなきゃ意味がねぇんだよ!それに──埋蔵金の話、まんざら出まかせでもないみたいだしな」

罠と分かっていてかかるフリをする……そしてこっちも罠を以て制す。

「なるほど!要するに『罠には罠を』ってことだね!」

「仮に何もなかったとしてもじいちゃんの『願い』ってやつに近づける気がするんだ」



「よ〜〜し!……で、そこまで言うならもちろん作戦はあるのよね?」

──しまった。

「えっと……つまり、その──これからだ!」

「お兄ちゃん──やっぱり嫌い」