「本当にやるの?」

いつもは乗り気な千夜も今回はそうでもないらしい。
石橋を叩いて渡るってタイプでもないハズなんだが。
どちらかつーと、突っ走って撃沈するタイプ……?まぁ、俺も人のことは言えた義理じゃないけどな。

「当然!どうしたんだよ、お前らしくもない」

TVで取り上げられるくらいなら、千夜が今まで全く知らなかったとは、到底思えないのだ。

「うん……ちょっとね、気になる噂があって」

「噂?……そんなもん、いちいち気にしてたら怪盗は務まらないぜ」

俺には絶対的自信があった。巷の噂なんか蹴散らしてやるくらいの。

「それは私も分かってるつもり……だけど」

いまいち歯切れが悪い。そんなに悪い噂なのだろうか。さすがの俺も不安になってきた。

「例えば誰かの罠でした〜なんてな。そんなことあるワケ……」

「よく分かったね!お兄ちゃん!」

「……マジ?」

俺のあてずっぽうな発言は、どうやら久々に命中したらしい。