「お兄ちゃん!どうしたの!」



見つけた──



「千夜、やっぱり罠なんかじゃなかったよ。じいちゃんはここに来たんだ」





『闇の女神微笑む時、全ての道開かれむ』



壁にそう墨で刻まれていた。
これは間違いなくじいちゃんの字だ。

でも『闇の女神』って一体……



「きゃ〜っ!」

突然、悲鳴が聞こえた。

「千夜、どうした?」

「お兄ちゃん〜!ごめん、捕まっちゃったみたい……」



今日はここまでだな。
俺は千夜との通信を切り、一目散に車へと戻ることにしたのだった。