たかサンは静かに話しはじめた。


「はじめに聞いておく、
萌華、覚悟はできてるな?」


そう聞いたたかサンの目は、
勝負師の目だった。


『うん。ついていく、
たかサンに。』


アタシも真剣な目で返す。

「No.1やってた女だから、
根性あるとは思うケド、
かなりキツいぞ?

やめるなら、今。
はじめたら抜けさせねぇ、
女だろうと。」


『わかってる。』


「お前は今日で、萌華を
捨てる。
No.1キャバ嬢も、雑誌モデルも
デザイナーも。

全部捨てれるか?」


『――………ハイ』


「俺の目を見ろ。」


ちょっと怖かった。
正直、未練もある。

でも、アタシは戻る気はなかった。


『全部、捨てる。』


「―――…よし。わかった。」


たかサンの目が元に戻る。
氷が溶けたように、
やわらかくなった。