「『私はニコって言います。
ヒロミさん、良ければ仲良くして下さい』と。」
年齢も分からないし、とりあえず呼び捨てはよくないと思ったニコは『ヒロミ』に対し、敬語とさん、そして絵文字を付けメールを送信した。
この人いくつなんだろう…
ゲイなんだろうか…
私のこと嫌いなんじゃないの…
いくつもの疑問がニコの体を駆け巡った。
しかしすぐには分からない。
大人しく返信を待とう。
時間をかけて、
相手のことも自分のことも、
話せばいいや。
そう思った。
その瞬間、またも携帯が光った。
「早っ!」
ニコは慌ててメールを開く。
そして、ニコは受信したメールを見て思わず吹き出してしまった。
『ん。さん付けいらないよ。
俺もニコって呼ぶし。
つーか名前珍しくね?
まぁよろしく』
相変わらず味気ない本文。
しかし淡白に『よろしく』と書かれた文字の最後にはおにぎりの絵文字がついていた。
「なんでおにぎり?意味わかんない!おかしい!」
けらけらと、携帯を見ながら一人声を出して笑った。
「この人、きっといい人だ」
証拠や根拠なんかない。
言うなれば直感。
なんともアバウトなものだけれど、
ニコは確信に近い感触を感じた。
「あ、アドレス、登録しておこう」
カチカチカチ
携帯のボタンを押す。
ヒロミ
と
ひろし
「二人のヒロかぁ」
ふふっ、
と、ニコは小さく笑い、
再びベッドのスプリングを鳴らした。
