「良かったー…。」
ニコは胸を撫で下ろし安堵の表情を浮かべた。
少し落ち着いて、ニコはベッドへごろんと横になる。
スプリングがぎしっと音を立て、マットレスが一度沈み、再びニコの背中を押した。
それはまるでニコの気持ちを表すかのような反動だった。
「返事、来るかな」
携帯をパカパカといじり、枕に顔を埋める。
不思議な気持ちだった。
つい昨日まで、同じかっこで同じことしていたのに。
こんなにも気持ちが変わる、なんて。
ニコ自体に何か変化があったわけじゃない。
男の人が怖いことに変わりはない。
むしろ、一層恐怖心は強くなった。
でも、
この悩みを誰かに、
誰だか分からないけれど、
誰かに話せるかも知れない。
そう思うだけで、ニコの心に降っていた冷たい雨は、少し止みそうな気がした。
