「『掲示板の、BOXで目に止まり、メールしました。良かったら、お話しませんか?名前、教えて下さい』っと。」



メールを打ち、送信ボタンに手をかける。



しかしそこでニコは止まってしまった。







好奇心と疑心の葛藤。








心臓の音が大きく、速く、聞こえた。







「別に死ぬわけじゃないし!」

言い切るのと同時に吹っ切れたようにボタンを親指でぐっと押す。



ふーっ、
と深呼吸し、再び携帯を見ると
『送信しました』
の文字がチカチカと点滅していた。






「送っちゃった…」


満足感と少しの後悔。
晴れ晴れとしたような気持ちと、
ビクビクする気持ち。



この一通のメールで何かが変わるわけではないかもしれない。

そんなことはわかってる。




ただ、少しでも、
私の気持ちを汲んでくれる人だったら、
それだけで、いいや。



ニコはもやもやと浮かぶ悪いイメージを振り払うことにした。


「いい結果だけ考えよ」





よし、と再びサイトのBOXを開くことにした。



「えーと、…あっ!」






『タイトル:返事ありがとう』



一通の新着メッセージ。

タイトルを見ただけですぐに『ひろし』のものだと分かった。


ニコはすぐにメッセージを開く。



『俺で良ければ仲良くしてよ(*^_^*)

アドレスは…』






「返事きた…!」


すぐさま記されていたアドレスをメール画面に添付する。



「『メッセージ、ありがとう。私はニコって、言います。よろしくお願いします。ひろしくん。』」



ニコはさっきとは違い迷い無く送信画面を押した。