「よしっ」
ニコは再び自分のBOXのメッセージ一覧を眺めた。
もしかしたら『ひろし』から返事があるかもしれない。
そのためにはBOXの空き容量を作る必要があった。
「めんどくさいな」
そう思いながらも、一通づつメッセージを削除していく。
表示されているタイトル一覧を見ているだけでニコは吐き気を堪えるのに必死だった。
『Hさせて』
や
『メールから仲良くなって遊びに行こうよ』
などといったメッセージは開くことなく削除した。
もちろん中には少ない数だが
『女が来るんじゃねーよ』
『ブス』
などの中傷が見てとれるメッセージもあった。
そういったメッセージは、覚悟はしていたがやはりニコの胸をズキズキと痛ませた。
「そんなこと言われなくたって分かってるよ」
ギリっと奥歯を噛み、勢い良く削除していく。
「あっ!」
その時、
力を込めすぎたせいか指が滑り、削除をしようと思ったメッセージを一通開いてしまった。
それは
『タイトル:無題』
というメッセージで、
『メールしようよ。』
という、一言。
それとその人のものだと思われるアドレスが記されていた。
「変なの…」
性的な内容でもなく、
ましてや中傷でもない。
かといってニコが求めているようなものかどうかすら分からない。
なんとも味気ないメッセージに、ニコは胸がざわざわするのを感じた。
好奇心がニコを襲う。
「別に、家を知られるとか電話番号知られるわけじゃないしアドレスぐらいいっか…
何かあればアドレス変えればいいもんね」
自分に言い訳をするように早口でまくし立て、ニコは記されていたアドレスを自分の携帯のメール画面に添付した。
