「確かに、出会い系ではあるけど…」
考えるより見るが易し。
ニコはカーソルを2に合わせ選択ボタンを押した。
自分の知らない世界を少し見てみたかった、ただそれだけの感情。
大きな意味はなかった。
掲示板と題されたページにはいくつかの選択項目があった。
募集内容
地区
年齢
募集内容には
恋人募集
友達募集
肉体関係募集
とタイトルがついていた。
地区は東北から九州・沖縄まで地方によって分類されている。
年齢は18歳から5歳単位で別れていてチェックをして選べるようになっていた。
「へえ。ふつうの出会い系みたいだ」
ニコの好奇心はどんどんと膨れている。
もっと見たい。
もっと知りたい。
ニコは
恋人募集
関東地方
18〜28歳
を指定し掲示板を開いた。
「え!すごっ。」
そこにずらーっといくつもの書き込みが表示された。
「これみんな同性愛者の人?」
『背が高くてオシャレな彼氏がほしいな』
『マッチョな人メールください』
『誰かぁ…さみしいよ(;_;)』
様々な書き込みがニコの目を駆け抜ける。
それはなんとも不思議な光景だった。
そんなとき、
ふ、と。
ニコの中に一つの考えが浮かんだ。
「この人たちは同性が好きなんだ。
だったらハナから私に興味はない。
それに私のことも知らない。
きっと私の悩みを聞いてくれる。
恋愛対象として意識しないのなら、傷付くこともないし、
私の男性恐怖症を治してくれるのはこの人たちしかいないんじゃないか?」
いつしか優しい雨はあがっていた。
雲の隙間から入る柔らかなひかりが携帯のディスプレイを照らす。
きらきらきらきら、と。
