「知嘩仔。もうダメだ。これで終わり、もう終わりにしよう。愛してる、知嘩仔…。」

もうダメだと言いながらどうしても言いたかった愛してるがこぼれてしまった。



「泣きやむまで、待ってくれるんでしょ…?それなら私、いつまでも泣き続けてずっとそばにいるから…。」

そんな潤んだ瞳で見られたら襲いたくなる。

でもだめなんだ。
ごめん。知嘩仔。

「教師のクセに馬鹿な奴だな、知嘩仔は。他の誰かとセックスでもすれば忘れられるよ。俺のことぐらい………。」

他の誰にも奪われたくない。

でも知嘩仔の幸せのためなら、俺のプライドなんて捨ててやる。



「そんなんじゃないよ。悪戯な笑顔とか、無邪気な笑顔とか、綺麗な手とか、たまにすごく鋭くなる目とか、その口とか、全部全部が好きなの。」

そんなこと言ったら俺だって知嘩仔の全てなんてまだ知らないけど、今の俺が知ってる限りの知嘩仔の全てが好きだ。



…そうやって言ってやりたかった。



「先生が泣きやまないなら、俺先に教室戻りますね。みんなには、なんか理由つけときますよ。それじゃあ…。」

知嘩仔に背を向けて歩きだした。





「ねぇ。冬雪って嘘つきだね。愛してるも、待ってくれるも…。全部全部嘘なんだね…。」

泣き声とともに聞こえた言葉も気づかないフリをした。