「飯島は…
 まだ好きなんでしょ?
 心のどこかに
 その子がいるって…
 好き以外の
 なんでもないよ」

「……………好き…か…。
 そっか……」


またうつむいて
ほんの少しだけ笑顔を見せた



「あーー
 なんで彼氏持ちなんだよ」

「あはは」

「お前…笑い事じゃねぇぞ」

「えー、なんか…
 飯島が悩んでるから」

「だから笑うとか」




静かな廊下に響き渡る
二人の笑い声



だけどお互い
心が泣いていた





素直になれば
傷つくだけだった

知らない方が
よっぽどましだった





どうせ叶わぬ恋なら

いっそうの事

あなたの恋が叶ってしまえば



諦めがつくんじゃないか


なんて


そんな事しか
考えられなかった