「気になる…人…
 いるんだ…………」


飯島に聞けば聞くほど
私の気持ちが
落ちていくばかりだった。



「なんで俺…
 岩崎だとなんでも
 話しちゃうんだろ」

「ふっ………
 気になる人の名前も
 教えてよ」

「やだよ」




駅に着いて
隣にいる君は

何を思っているのか

遠くを見ていた



不思議な君は

不思議だった




私じゃ届かない



中学の頃の彼は知らない
今もまだ知らないのに

また知らない事が増えた


知れば知るほど
離れていった



「ねぇ、飯島」


「ん?」


「自分の気持ちに嘘
 ついてた方が楽かもね」


「………そうかな…
 その方が辛いべ。
 ずっと前に進めないんだぜ?」

「………あたしは
 素直になって後悔した。
 嘘ついてれば
 傷つかなかった」


「ふぅーん………。
 でも……………」



私の方をみて
優しく微笑んだもんだから



胸がぎゅっとなった




「嘘ついて進んだ道は
 迷子になるだけだろ」