「ねえ、離れて。
 お願いだから」


また彼を突き飛ばそうとした

だけど彼は強引に
私の両腕を掴んで
壁に押し付けた。

固定された腕のせいで
まったく動けなかった

彼との距離は数センチしか
ないと思うぐらい近かった


「やっ………
 何すんの…!?」

「ふっ………
 ここ、学校じゃないから
 今日放課後、俺を
 突き飛ばした仕返し」


ぼそっと低くて怪しい声が
すぐ耳元でささやかれた。

脚は震えて力も入らない

腕を押さえ付けられてる
彼のその力でやっと
立っていられる状態だった


「腕…痛い
 やだ………離してよ」


生温い息が首筋に吹きかかる
そのたび背筋がぞくぞくして
力が失われていった







――――――助けて