「暗い夜道で華奈子ちゃん
 一人は危ないよ?」


彼は私の肩に
手を乗せてきた。


「ねぇ、華奈子ちゃんって
 モデルとかやってんの?
 超かわいいよね、ほんと」

「………。別に……
 モデルも何も…
 やってないよ……。」

「えー、まじで?」


肩に置かれた手は
背中をすべらせて
私の腰にまわって
引き寄せながら
顔を近づけてきた。


「離れてっ」

「ははは、やっべえ。
 抵抗する姿もかわいい」

「なっ…
 かわいくないから」


抵抗すれば引き寄せる力が
強くなるだけだった。


「まじで事務所も
 入ってねーの?」

「……………うん」


こんな嘘をつくたび
自分に自信がなくなった
堂々と言えないなんて