「ちょっといいかな」



教室内の周りの
騒がしい雰囲気の中

椅子に座る翔弥と
その前に立ち尽くす私


首を縦に振って
立ち上がった翔弥は
一度も私の目を
見てくれなかった。



自然と眉間にシワが寄る
自然と目頭が熱くなる
自然とこらえなくなる

こんなに近くにいるのに
もうあかの他人のように



1年の月日の尊さが
身に染みた。



廊下を歩いていって
人があまり通らない
隅っこの方で
私達は立ち止まった。




「……………ごめん」



まだ私が何も言っていないのに
私から翔弥を呼んだのに

彼は最初にその言葉を
口にした。



「あたしは…
 謝ってほしいんじゃない」


「……………。」