「別れよう」
周りの笑い声も
鳥の声も何も聞こえない
時が止まった感じ。
あまりに急で
さっきまで笑っていた
自分が嘘みたい。
「限界だから」
「………限界……?」
翔弥は首を縦に振り
うなずいた。
瞬きも忘れる私の瞳に
熱い何かが流れて
止めようと思っても流れて
いつもならそれを
拭ってくれる彼がいたのに
目も合わせてくれなかった
その優しさを
もう感じれない
もどかしさと
『限界』の意味が
分からない悔しさが
私の胸の奥を支配した。
翔弥は別れる理由を
言ってくれなかった。
なのに、最後に
「だけど俺はお前を
嫌いになんかなれない」
その言葉を残して
去っていった。
暗闇に取り残されて
肌寒くなったこの場所で
私は初めて孤独を感じた


