「全員リレーの時の飯島
 すんごい速かった!!」

「かっこよかったよ、飯島」



打ち上げが始まって
離れた席で
女子と話している
飯島がいた。


聞こえてしまう


聞くつもりなんてないのに
どうしてこんなに
たった一部の会話が
大音量に聞こえるのだろう




「おい、岩崎
 肉こげこげ…
 箸止まってるし」


「え……?
 うっそー最悪
 黒毛和牛がぁあ」


近くの男子に言われて
焦げた黒毛和牛を口に入れた。





苦くて苦くて

甘さなんてどこにもない




まるで




恋みたい








「はあ………。」






「まじ、大丈夫?
 焦げただけでそんな
 落ち込むなよ」




今優しい言葉をかけられると
涙がでそうで仕方なかった。




もう辛い恋なんて
やめちゃいたいのに。



どうしてこんなに
好きなんだろう