「知ってた?」
かっちゃんの優しい声が
すぐ隣から聞こえる。
「俺が華奈子の事好きなの」
「…………え……」
「バンド仲間だからとかじゃなくて
女として華奈子が好き」
電車が来て
電車に乗って
私達はゆらゆらと揺られながら
私の地元に到着した。
家より少し離れた所で
やっとかっちゃんは
話しはじめてくれた。
「俺は自分の気持ちに
素直になるよ。
たとえ、好きな人に
好きな人がいても」
「なんで…」
「ん?」
「なんで、かっちゃんは
あたしが好きなの…?」
「………………あぁ…」
「素直になったら
辛いだけじゃん。」
「………辛くない恋なんか
ないんじゃね……?」
私はかっちゃんを見つめた。
かっちゃんは澄んだ表情で
夜空を見上げていた


