事務所へ向かう準備を始めた


今日は
バンド名とか
デビュー曲の話


いろいろ決める

そう考えると
夢が叶う一歩手前に
私がいるんだって感じる




事務所の廊下を歩いていると

私の隣に無言で並んで歩く
人影がかすかに視界に入った




「あ、迅さん」



「おはよ」




クールに軽く挨拶をした迅さん



いくつも付いている
ピアス達がキラキラ光って見えた


こうした二人きりって
なんだかんだ初めてだった





「ねぇ迅さん」


「ん?」


「音楽の道に入った
 きっかけってある?」




迅さんは台詞があるかのように
さらりと答えてくれた




「親父だよ」


「お父さん?」



「親父もギタリストだった。
 まぁ…有名じゃなかったけど」

「へぇー」



迅さんの顔を見上げて
見ていると、迅さんは
私を見下ろす感じで見た



ふっと鼻で笑って
綺麗すぎる笑顔で微笑んだ。