「雄介、今日何かあったのか?」



真琴の表情が、さっきまでとは一変して急に真剣なものになった。



「…何故そう思う?」


「雄介がウチの道場に来る時は決まって心を鍛えたい時だろ」



黙り込む雄介に真琴が心配そうに尋ねる。



「…梨央ちゃん?」


「……アイツは俺を恨んでる。どう接していいかわかんねぇ」



人の不安や悩み事には敏感な真琴に観念したかの様に雄介が口を開く。



「恨んでなんかないよ!雄介が悪い訳じゃないだろ?」


「…ありがとな」


必死にそう言ってくれる真琴に雄介は、聞こえるギリギリの小さい声でお礼を言った。

自分の事の様に真剣になってくれる真琴に、雄介は今まで何度も助けられてきた。