「……何のために?」



奈々花の意味深な発言に雄介が眉根を寄せる。



「……わかりません」


「……ただ俺が気に入らねーだけだろ」


「会長はそんな人じゃありません!」


珍しく大声を出した奈々花に、少し驚いた様子を見せた雄介だったが、次の瞬間、奈々花にはフッと優しく笑った様に見えた。



「アイツの事、よくわかってんだな」



そう言われ、ハッとした奈々花は急に恥ずかしくなり話題をすり替える。



「そ、そちらの会長はどうなんですか?」


「ウチの会長は見た通りの人だよ。自分に正直で裏表のねぇ真っ直ぐな奴だ。今の俺があるのはアイツのお陰だ」



雄介が遠くを見つめる。



「全力で他人を護ろうとする人だから、アイツの事は俺が護りたい」



言い切った雄介に恥ずかしがる様子はない。