「なんや愛咲、一人か?」


「ウサちゃんこそ」



生徒会室に入るのを躊躇している愛咲を見つけた圭吾が声をかける。



「余ったもん同士でくっついとく?」


「ナイナイ」



完全否定。



「さっき図書室で見たで」


「誰を?」


「横溝先生」


「なっ?!何で知って…」



愛咲は誰にも言えない先生との秘密の恋をしていた。



「図書室立ち入り禁止区域になってるから行ってきーや」


「…ウサちゃんなんかキライ。でもありがとッ」



そう言って笑顔を見せた愛咲は図書室へと急いだ。



「好きな奴の視線の先に誰がおるかくらい分かるっちゅーねん」



圭吾はそう呟くと自嘲ぎみに、だけどどこか満足そうに笑った。