「あのさ、後夜祭おれと出てくれない?」


「何であゆチャンなんかと…」



言いかけてハッとする。



後夜祭に誘われ過ぎていた梨央は、それが何を意味するのか忘れていた。



「…それ本気?」



「うん。本気だよ」



「ウチのお兄ちゃん恐いよ?」


「……知ってる」


「………いーよ」


「え?」


「だからァ…」



-ちゅっ-



柔らかい感触が優しく歩の頬に触れた。