「"何オマエだけのうのうと生きてんだ"って言われてる気がした」


「………」


「晃がそんな事言うわけねぇのにな」



耕平が哀しく笑う。



「…ナナちゃんは?オマエ本気なんやろ?」


「…晃の中の"奈々花"って領域だけは手出しちゃいけねぇ気がして」


「晃が女譲ってもらって喜ぶ奴やと思うか?」



複雑な表情を浮かべる耕平に圭吾が叱るような口調で言う。



「………」



「晃やったら"正々堂々と告白して結果がどうあれ恨みっこなし"ってタイプやろ」


「…あぁ、わかってる。オレが卑怯なだけだ」



耕平が拳を握り締める。



「晃に悪くて手出せないクセに奈々花を自分の側から離せない。アイツの気持ちもわかってるクセにはぐらかして…でも離れないように一定の距離を保ってた」



「会長…」



想いもよらない声に耕平は勢いよく振り返る。