なのに…
なのにっ!
夏樹はアタシをあっさりと離すと、
『ちゃんと冷やせよ、アトになったら困るだろ?冷やしながらメシ食うぞ。』
とか言っちゃって、また麻婆茄子を食べ始めてしまった。
何で!?
イヤ、何でって言うか…、今このままの勢いでされちゃっても困るんだけど。
アタシの谷間って…
そんなに魅力無い???
それとも夏樹は見慣れてるんだろうか?
何かこの状況って、ちょっとヘコむ。
アタシには色気出そうなんて、まだまだ早いのかな…。
そんな事を考えながら、夏樹に言われた通り、冷やしたハンカチで谷間を押さえつつ、麻婆茄子を見つめるアタシ。
『早く食わねぇと冷めるぞ。』
イヤイヤ夏樹サン。
冷めた方がいいんデスよ。熱々なせいで火傷しそうになったんだから。
っつーかアタシの心の熱が冷めそう!
やっぱり所詮底上げは底上げ、偽造谷間ではダメなのかもしれない…
と、悲しい気持ちでお箸を握りしめた。



