あの頃の夏樹は本当にうんざりっていう顔をしていた。


しょっ中告白されてたみたいだけど、断り方がそっけないのか、告白した女子達はみんな泣きながら帰って来た。


そしてフラれた腹いせか、フラれた子達はみんな夏樹を悪く言うようになっていた。


今思えば、モテる夏樹の悪口を言って少しでも自分に気を向けて欲しいという、子供なりの歪んだ愛情表現だったように思う。


夏樹にしてみれば、そんな乙女心なんて分かるハズも無く、勝手に告白して来て、断れば泣いて悪口を言い出す、女という生き物に嫌悪感を抱くようになったんだろう。


私とはたまに口を聞いていたけど、学校では殆ど女子達とは喋らなくなっていた。


告白して来た女子はともかく、普通のクラスメイトの女子とも喋らないというのはいかがなものかと、私は夏樹が心配だった。


このままでは夏樹は女子達に誤解されたまま学校生活を終わる事になってしまう。