「わぁー…」

「ねっ…?
綺麗でしょ?」



キイさんが言ったとおり、綺麗な海が波音をたてて、波が行ったり来たりして



「波が全ての悩みを持っててくれる
そして、いい結果を運んでくる…」

「…運んで、くる……」

「いい言葉でしょ?
健哉がくれた言葉なの」

「本当に健哉さんが好きなんですね」

「…嫌いよ、名前も呼んでくれない…
勝手にいなくなる…健哉なんて嫌いよ…
嫌い、嫌いだけど嫌いになれない…好きなの…」



キイさんの小さく消えそうな声は波の音と
共にわたしの耳へ届く…





だから、わたしは



「キイさん、良かったら見てください」

「アル、バム…?」

「わたしの写真なんです
大切な、思い出で…」

「ほんとに、見てもいいの…?」



頷くとキイさんは砂浜に腰をおろして、手の平サイズのアルバムをめくった…



「りっちゃんとこの男の子がいつも写ってる…」

「磨梛抖って言うんです
優しくて、かっこいい幼なじみなんです」



小さい頃の写真を見てた
キイさんは最後のページで手を止めた



「健哉にそっくり…」

「磨梛抖と勘違いしちゃいました」



ツーショットで写ってる磨梛抖とわたしの写真はほんとに幸せそう…





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