愛しいキミへ




「それで、俺がお前を担いで運んできたって訳。」


「そうだったのか…。さんきゅっ。」


「ああ。でも、礼の半分は彼女に言いな。」


「え?」



恭の指した"彼女"とは…、
椎凪のことだ。


椎凪、何したんだ?



――――……


、二時間前



恭が俺を担いで、椎凪と体育館を出た時の事。

天宮たちが、まだ外に残っていた。


恭は一発殴ろうとしたらしいが、椎凪に先を越された。
天宮に向かって、頬をはたいた。


椎凪は案の定、天宮に腕を掴まれて壁に押しつけられた。



「椎…。お前、まだ懲りない訳?マジで抱かれたいの?」


「抱きたいなら、抱けばいい。」


「へぇー♪どういう風の吹き回し?」


「どうとでもすれば良い。
でも、私は渚を許さない。

こんな事して…、隼斗傷つけて…、やりたい放題やって…。馬鹿みたい!


私に何かしたって、渚はどんどん駄目になっていくだけだよ。

最低最悪の人間っ!

アンタはいつまでも成長しない、ガキだよ!!」



パンッ!!



「今日は、これだけにしておいてやるよ。行くぞ…」



天宮は怒りのこもった笑みを浮かべて、椎凪の頬をはたいた。
そして、他の奴らを連れて校門を出ていった。



……――――