私は下を向いたまま拳に強く握り締めた。
「…聡君はいい奴だから、真剣に考えてやれって言われた」
自然としゃべってしまった。
気付いて時は遅くて、聡君は驚いたように勢いよく私のほうに振り向いたような気がした。
「聡君がいい人だなんて知ってる。でも、彼に言われて頭が真っ暗になった」
どんどん聡君に話す。
勢いが止まらない。
「もういっぱいで…辛い」
気付いたら私は泣いていた。
昨日あれだけ泣いたのに、まだ出てくる涙。
聡君に言う言葉じゃなかった。
でも、今の私にそんな余裕はなかった。
聡君はゆっくり私に歩み寄り、そっと抱きしめた。
「俺…耐えられないよ。華夜ちゃんの辛い顔とか見てられない」
そう言った聡君の腕は微かに震えてるように思えた。
「…俺だったらそんな顔させないよ。だから…俺にしなよ」
聡君は強く私を抱きしめた。


