「こっちだよバーカ」

そう言いながら想との距離を縮めてく。

「…智葉」

「あのさ…今朝は…その…」

想の目の前で足を止める。

今朝はごめんなさい。

それが言えない。
簡単なこの言葉が言えない。
どうして言えないの?
こんなの…簡単じゃない…。

「えと…」

「…今朝は悪かった。」

「ふえ!?」

「そうやって智葉を困らせる為に言った訳じゃないし…
困らせたかったわけでもないから…気にすんなよ」

そんな…悲しそうに言わないでよ。
謝るのはあたしなのに。
あなたは何も悪くないのに。

謝らないでよ…。

「違う!!」

気づいたらあたしは叫んでいた。

違う、違う、ただそれだけを…。


「智葉!」

「違う!違う!!」