「智葉…」

想の力が強くなる。
けど…痛くない。
ちゃんと考えてくれてるんだ。

そういうところにもドキドキする…。

「…顔あげて?」

「やだ、だってあたし今泣き顔でやばいもん…顔…」

「いいよ。智葉はどんな顔してても可愛いから」

「バカじゃな…」

あ…反射的に顔をあげてしまった。

もう一度下をむこうとしたらそれは想の手によって阻止された。

「…もし、茜が俺を解放してくれたら…俺ともう一度ちゃんと付き合ってほしい」

目を…反らすことが出来ない。

「……」

言葉が出てこない。
どうしよう。

嬉しい…。

でも…本当にこのままで良いの?

「か…」

「か?」

「考えさせてほしい」

そう言ってあたしはスルリと想からすり抜けて学校まで走り出した。