『本当に葉月なのか?』

「そうだよ
父さんが昔すっげぇ怒った馬鹿息子だよ」


静かに病室を出る。
そのまま中庭に出た。

『で、どうかしたのか』

少し声が固くなった。

「父さん…俺な先生になりたいって本気で思ったんだ」

『えっと…それは…学校の、か?』

「そうだよ。
たまたま姉ちゃんの学校行ってさ
従兄弟の翔兄いるじゃん
会ってさ少し話したんだ。
そしたら凄く…いいなって」

『お前は、中学生にしては凄く大人じみてて…
それでもって凄く子供だった。
だからこんな風になってしまったんだろうな』

「…」

『間違いに気づいて今こうして話してる。
これから葉月は真面目になるのであればいい先生になるための経験だったと、父さんは思う』

いい先生になるための経験?
この時俺は父さんの言ってる意味がわからなかった。

でも…俺が大人になって…
やっと気づくことができた。
だけどそれはまた少し後の話。

『母さんを、よろしくな』